主が変えてくださる 「さぁ、それを汲んで持って行きなさい」ヨハネ2・8

2025/01/16

カナ 変容 奉献

 2025年1月19日 顕現後第二主日

ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ、「カナの婚宴」、1308-11、シエナ主教座聖堂美術館          

今日は大切な結婚披露宴。召使いらは多くの招待客に給仕していました。その中には主イエスさまのご一行もいます。

そこで大惨事が起きました。ぶどう酒が切れたのです。誰の責任か追及してもはじまりません。このままでは宴会は台無しになり、世話役にも花婿にも赤っ恥をかかせることになります。

そこで母マリアが願っても主イエスさまは何もしてくれません。それでも「イエスが何か言われればそれを信じて行うように」とのこと。

主イエスさまは大きな水がめを見ました。でもそれに奇跡でぶどう酒を満たしてはくれませんでした。そうではなく召使いたちに自ら働いて水を満たすように命じました。「これが何の役に立つのか」と思いつつ召使いたちは従いました。そして次は「さぁ、それを汲んで世話役のところへ持って行きなさい」と言うのです。

「あぁ、どうしよう。」水を持っていけば世話役はどれだけ怒るだろうか。でも他に手段はない。もうこうなれば、なんとかしてくださると主イエスさまを信じて、私の水を変えてください、と信じて持っていこう。 

そう祈りつつ、かめから汲んだ水を運んだところ、世話役がそれを飲み、「上質のぶどう酒だ!」と喜んだのです。水がぶどう酒に変わっていたのです。

水が酒に変わったのは、召使いたちが恐れつつも信じて運んでいるあいだでした。何の根拠もないのに、主を信じて従い、運ばなければ、何も変わらなかったのです。

教会はこの召使いです。私たち自身は水のような価値の薄い存在であっても、主を信じて「自分を人に運ぶ」なら、主は私たちを恵み豊かなぶどう酒に変えてくださいます。自分たちだけでは役に立たない罪と死であった私たちを、十字架と復活によって新しい命に満ちた存在に変えます。そして人の喜びを満たす神のしるしにしてくださるのです。なんという喜びか。

病室訪問の前、私はこの召使いのような気持ちで祈ります。「神さま、私は何も持たず、ただ自分を今、病室のあの方へと運びます。どうか少しでもあの方の慰めと励ましとなるように、私の存在と私の祈りを良きものに変えてください。」どんなに価値がない自分でも、自分を変えてくださると信じて運ぶなら、主は必ず変えてくださいます。

聖餐式の奉献のように主が自分たちを変えてくださると信じて、自分たちを神に、愛する人に、そして愛すべき相手に、運びましょう。


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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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