2025年1月5日 降誕後第二主日
“Boy Jesus in the Temple.” Essen von Matern.Newport Museum and Art Gallery. |
クリスマスのその後の話です。「イエスさまは知恵が増した」とあります。知恵とは「神を知る知識」です。
イエスさまは私たちと全く同じ人間でありつつ、完全な神です。神には何の欠けもなく成長する必要もありませんから、成長したのはイエスさまの内の人間性です。人間としてのイエスさまが父なる神をより深く知るにつれて、神が徐々にイエスさまの内に現れ、イエスさまの人間性が限りなく神性に近づいていきます。
4世紀の主教アタナシオスは教えました。「神が人間となったのは、人間が神となるためである。」神と人は競合しません。イエスさまのうちに人間は100%人間でありつつ、神は100%神であることができます。神に与かれば与かるほど、人間は人間らしくなるのです。
イエスさまはご自分の祈りの人生で父のみ心を徐々に知り、その使命を実現していくことで、神がそのご生涯に現れていきました。そして十字架と復活と昇天という生涯を生き切って、イエスさまの人間性の内に神さまを知る知識が完全に現れたのです。それは人間のために自らの命を与える、愛です。
私たちは、信じてイエスさまに結ばれるとき、神を深く知ります。つまり、愛を知ります。イエスさまの生き方と死に方を通して、神さまがどれだけ私たち人間を救おうとしておられるか、どれだけ愛しておられるか知ります。
そして神さまの愛を知れば知るほど、私たちの人間性のうちに愛が現れます。そして愛に満ちた人間に変えられていきます。愛はもっとも人間らしい姿であり、最も神らしい姿です。神の似姿です。
私は、若いときは自分の人生で精一杯で、親の心を知ろうともしませんでした。反抗期には邪魔にしか感じませんでした。しかし大人になり、自ら親になるにつれ、両親を一人ずつの人間として知り、その愛をより深く知るようになりました。そして私自身も少しずつ人を愛するように変えられてきた気がします。愛の知識は人を変えます。
同じように、私たちがより深く神を知り、神の愛の知識が増すとき、私たちは愛の人に変わっていきます。この意味で人は神になっていきます。そして同時に最も人間らしい人間になっていくのです。
主が自らを与える愛の食卓に養われ、主のみ声を聞きましょう。
「私が神の知恵を増やそう。愛の知恵を増やそう。愛こそが人間を最も人間らしく、あなたを最もあなたらしくするのだから。」