クリスマスの革命 「権力を振るう者をその座から下ろし、身分の低い人を引き上げ」ルカ福音書1章51節

2024/12/20

 2024年12月22日 降臨節第3主日 聖餐式

  悪しき支配者を追放し、圧迫された民衆が国を治める。そんな新しい支配を目指すのが革命です。レーニンも、チェゲバラも、天安門事件も、日本の学生運動もそうだったのではないでしょうか。

そういう意味で主の祈りが祈る「み国(神の支配)」は、神の愛の革命です。クリスマスは革命の始まりを祝う祭りなのです。

ただし神の革命を始めるのは偉大な将軍ではなく、マリアという14歳で妊娠した少女です。人々からは「姦淫」と断罪され、居場所なく親戚のエリサベトの所へ逃げてきた。しかし弱い存在ながら胎内の小さな命を必死に守る少女です。

このマリアが神の革命を歌います。「主はみ腕の力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力を振るう者をその座から下ろし、身分の低い人を引き上げ…。」これは誰でしょうか。大統領、政治家、軍人、金持ち、悪質業者、子供に対する親や大人、女に対する男、嫁に対する姑、病人に対する健常者、少数者に対する多数者…。弱い者を力で傷つける者です。

人の弱さに付けこむ者に対して、マリアの胎から生まれる神は革命を起こし、遂行し、完成させます。力を振るう者に審きを降し、弱くされた人を引き上げます。

この革命は「弱さの中から」始まります。それは身重の少女の弱さであり、マリアから生まれたイエスの十字架上で裸で死んでいく弱さです。神は全く弱くなって悪を受けることで悪を滅ぼし、新しい命で支配し始めました。それもこれも神が私たちを愛しているからです。

愛の力に支配される時、強がる心は打ち散らされます。引きずり下ろされます。自分と人の弱さを優しく受け容れ始めます。そして力を振るう者に対しては強く戦う者に変えられます。神に支配されて変えられる。それが救いです。

私は、人生半ばの働き盛りにあって、全く自信を失ってしまいました。それまでは自信満々で働き、人に接していました。そんな自分は神さまに打ち散らされ、引きずり下ろされた気がしました。祈りのなかで聞こえてきたのは「自信なく、弱いお前にしか聞こえない福音を聞き取りなさい。私はそんなお前を愛している、と。」そして神さまに引き上げられるような気がします。

このクリスマス、ぜひ祈りましょう。少女から始まったクリスマスの革命が、十字架の愛の革命が、社会に、私たちに成就しますように。

「私は革命を起こす。愛の力で。弱さの中から。」



このブログを検索

そのほかのメッセージ

ラベル

復活 十字架 神の愛 聖餐式 信仰 祈り 聖霊 イエス 受肉 神の国 三位一体 癒し 赦し アッバ 悔い改め キリスト クリスマス 委ねる 恵み 救い 昇天 羊飼い 自分らしさ アブラハム ゲセマネ 兄弟姉妹 出エジプト 勝利 召命 変容 弱さ 悪霊 教会 洗礼者ヨハネ 神の子 解放 ぶどう園 インマヌエル ゲッセマネ 創造主 喜び 大祭司 奇跡 嫉妬 子ども 宣教 忍耐 悔い改め、荒れ野 悪魔 感謝 放蕩息子 洗礼 神の支配 自由 行い 過ぎ越し 陪餐 Being うつ かみのくに からし種 み名 み心 アダム イスラエル エリヤ ガリラヤ サマリア人 ザアカイ スキャンダル タラントン タリタクム パン裂き ピスティス ペテロ ペトロ マリア マルタ メシア ヤイロ ユダ ユーカリスト ラザロ 不安 不正な管理人 主の祈り 今ここに 仕える 伝道 信頼 偶像 共感 再創造 再臨 十戒 原罪 受容 受難 境界線 天国 奉仕 奉献 婚宴 安息 審き 希望 平安 幸せ 弟子 律法学者 従順 忠誠 憐れみ 懺悔 成就 戒め、山上の説教 承認欲求 招き 新しい創造 最後の晩餐 栄光 楽園 権威 歴史 毒麦の譬え 洗足式 清い 灰の水曜日 無力 父、三位一体 独り子 現存 生きる意味 病い 真理 礼拝 祝福 神の家 神の言葉 神殿 祭司 種蒔き 絶望 聖書 肉体 自己肯定 苦難の僕 裁き 見失った羊 覚悟 親密さ 観想 記憶 誓約 誘惑 誠実 譬え 財産 貧しい人 貧しい人、共有、復活 賜物 賢明さ 躓き 身代金 迫害 追放 重荷 障害 静けさ 食卓 飢え 養い

自己紹介

自分の写真
大津市, 滋賀県, Japan
聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

日本聖公会京都教区 大津聖マリア教会

Wikipedia

検索結果

コメント

名前

メール *

メッセージ *

Tags

QooQ