2024年12月22日 降臨節第3主日 聖餐式
そういう意味で主の祈りが祈る「み国(神の支配)」は、神の愛の革命です。クリスマスは革命の始まりを祝う祭りなのです。
ただし神の革命を始めるのは偉大な将軍ではなく、マリアという14歳で妊娠した少女です。人々からは「姦淫」と断罪され、居場所なく親戚のエリサベトの所へ逃げてきた。しかし弱い存在ながら胎内の小さな命を必死に守る少女です。
このマリアが神の革命を歌います。「主はみ腕の力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力を振るう者をその座から下ろし、身分の低い人を引き上げ…。」これは誰でしょうか。大統領、政治家、軍人、金持ち、悪質業者、子供に対する親や大人、女に対する男、嫁に対する姑、病人に対する健常者、少数者に対する多数者…。弱い者を力で傷つける者です。
人の弱さに付けこむ者に対して、マリアの胎から生まれる神は革命を起こし、遂行し、完成させます。力を振るう者に審きを降し、弱くされた人を引き上げます。
この革命は「弱さの中から」始まります。それは身重の少女の弱さであり、マリアから生まれたイエスの十字架上で裸で死んでいく弱さです。神は全く弱くなって悪を受けることで悪を滅ぼし、新しい命で支配し始めました。それもこれも神が私たちを愛しているからです。
愛の力に支配される時、強がる心は打ち散らされます。引きずり下ろされます。自分と人の弱さを優しく受け容れ始めます。そして力を振るう者に対しては強く戦う者に変えられます。神に支配されて変えられる。それが救いです。
私は、人生半ばの働き盛りにあって、全く自信を失ってしまいました。それまでは自信満々で働き、人に接していました。そんな自分は神さまに打ち散らされ、引きずり下ろされた気がしました。祈りのなかで聞こえてきたのは「自信なく、弱いお前にしか聞こえない福音を聞き取りなさい。私はそんなお前を愛している、と。」そして神さまに引き上げられるような気がします。
このクリスマス、ぜひ祈りましょう。少女から始まったクリスマスの革命が、十字架の愛の革命が、社会に、私たちに成就しますように。
「私は革命を起こす。愛の力で。弱さの中から。」