2024年6月16日 聖霊降臨後第4主日(特6)
「神の国は成長する」とイエスさまは教えました。
しかし私たちの教会や教区を見ると、成長とは程遠い現実が迫ってきます。信徒数は減り、高齢化は進み、伝道活動もどれだけできているか…。個人的にも、自分は何人の人をイエスさまに招き、導き、愛を伝えたか、教会生活の喜びを伝えたか…。
ただし、イエスさまが教えたのは「人が知らない間に」という神秘です。某T主教さまのご子息であるAさんは、お父様が逝去なさってから、積極的に教会を愛し始められました。お父様の人智を超えて神の国が働いた、ということなのではないでしょうか。
神の国は私たちの思いを遥かに超えた成長をします。これは喜びであり、慰めや安心でもあります。教会の活動や誰かのための祈りや行いで、私たちが「ダメだ」と思う行いもすべて神さまは、私たちの知らないところで神の国の成長に用いてくださいます。神の国にあっては、何事も無駄なことはないのです。
そして神の国は私たちが想像する成長をも超えます。(もちろん素晴らしいことである)信徒数や献金額という人間の尺度をも超えます。
その尺度は、イエスさまの愛の支配と、信じて悔い改める一人の人です。「一人の罪人が悔い改めるなら、神の天使たちの間に喜びがある」(ルカ15:10) 数より先に、目の前の一人が救われることです。
数に目を奪われることなく、必ず成長している神の国を信じて、たった一人に福音の種を蒔き続ければ良いのです。ダメならあっさり父に委ねれば良いのです。
聖餐式ではイエスさまが私たちの魂に植えられます。その種から芽が出てくる沈黙の声を聞き取りましょう。
「信じて働きなさい。あなたの思いを超えて、私は成長している。あなたの中で、あなたの周りの人々の中で。」