2024年6月9日 聖霊降臨後第3主日(特5)
聖霊降臨日のイコン、18世紀ロシア |
イエス様は言われます。「聖霊を冒涜する者は永遠に赦されず、永遠に罪の責めを負う。」イエス様にしては珍しいほどの、厳しい言葉です。イエス様は、聖霊だけは絶対に冒涜してはならない、と言われます。それは何故でしょう。聖霊を冒涜することは、自分を冒涜することになるからです。
聖霊はすべての人の中におられます。もちろん自分の中にも聖霊がおられます。ですので聖霊を冒涜することは、自分を冒涜することになるのです。そしてそれが、一番してはいけない事、絶対やってはいけない事なのです。まず自分を大切にすること、自分を愛するところから、全ては始まるのです。
イエス様は言われました。「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい。」私たちの使命は愛です。イエス様の「互いに愛し合いなさい」と言いう教えは、新しい掟として定められたものです。そして、その愛の前提は、自分を愛することなのです。今、若い人の中には「自分を愛する」ということが、とても理解しにくい人が居ると思います。自分が愛されているという実感が薄いのかもしれません。それは、家庭環境だけでなく、社会の状況によるものなのかもしれません。
イエス様は「まず自分を愛しなさい。あなたは愛されるのに十分な存在なのですよ」と私たちに伝えてくださっていると思います。
この言葉の前に、大切な言葉が記されています。「人の子らが犯す罪やどんな冒涜の言葉も、すべて赦される。」ここでいう「人の子ら」というのは、普通の人間の事を指していると思います。ここには、私たちが口にする冒涜の言葉は赦されるとあります。イエス様の心の中では、これは、ご自分に向けられた冒涜の言葉も含まれるのでしょう。イエス様はこう言いたかったのではないでしょうか。「私のことは、どれだけ冒涜しても良い。その代わりに、あなたたちは、せめて自分の事は大切にしなさい。」イエス様はその思いの通りに、人々からの十字架の重荷を甘んじて受け止められました。
聖霊を大切にするのは、自分を大切にすることです。私たちはここから発展し、自分だけでなく、すべての聖霊を含むものを大切にするようになります。聖霊はどこにあるでしょう。それはすべての人の中であり、そして、神様に創られたものすべての中にあるのです。聖霊を大切にすることで、自分だけでなく、すべての人々、すべての被造物を大切にするのです。
私は、自分のちっぽけなプライドが傷つけられた時に、とても腹が立ちます。本当にいけないことです。イエス様は、御自分のプライドを全て捨て去って、人々を愛されました。自分のあり方を神様の御前で懺悔し、正しく自分を愛し、全て非人を、全てのものを愛していきたいと思います。