2023年12月24日 降臨節第4主日(B年)
12日、パレスチナ自治区ガザ北部の中心都市ガザ市にあるシファ病院で、停電後に保育器から出された新生児。【ロイター時事】 |
11月中旬、ガザのシファ病院からの写真には電力不足で停止した保育器から出された39人未熟児が、緑のシーツにくるまれて寝かされていました。1200gにも満たない未熟児は、酸素吸入と温度管理がなければすぐに死んでしまいます。実際に国連と新月社に救助されるまでに8人の小さい命は尽きてしまいました。看護師たちにできたのは自分たちの体温で温めてシーツでくるむことだったそうです。死に対する愛の抵抗です。
神は本当にいるのか。なぜこんなにも弱く、弱いからこそ大切にされるべき命を死なせてしまうのか。怒りの涙が出ます。
放っておけば死んでしまう無力な命。だからこそ自分のできる限りで守ってあげたい。神の母マリアもヨセフも同じでした。
天使に約束された初めての子を旅先で産む。出産のために宿屋の代わりに馬小屋を見つけ、揺りかごの代わりに飼い葉桶に寝かせ、旅荷の布を「おつつみ」にして大切に赤ちゃんを包みました。裸の命を温めました。放っておけば冷たくなって死んでしまうのです。
人間が愛さなければ死んでしまう無力な存在。神はそんな存在となりました。それはあの未熟児のように、愛されなければ死んでしまう無力な私たちと一体になるためです。そして私たちの弱さを受け容れ、死んで復活することで、新しい命に生まれ変わらせるためです。
そしてイエスさまはあの未熟児の顔から語りかけられます。「私はあなたの愛が必要だ。無力でもいい、助けられなくてもいい。それでも目の前の小さな命を自分の体で温めて、心でくるみなさい。死に対して最後まで愛で抗いなさい。あなたの愛を通して私は人間を愛する。」
それが馬小屋の一枚の布であり、シファ病院のシーツです。死の力に愛で対抗するとき、神はその愛の中にいます。そして私たちの愛に力を与えるのです。
幼子イエスと共に、召された赤ちゃんと共に、おくるみのような愛を祈りましょう。
「わたしは全能に無力な愛だ。わたしをくるみ、わたしと共にくるまれ、死に愛で抗おう。」