「二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。」マタイ福音書10章29節
2023年 6月25日 聖霊降臨後第4主日 (A年特定7)
イエスさまは身近な自然や生活に父なる神を見て、教えられました。「ほら、この市場では雀が二羽600円だ。安いね。でもこんなに小さくて安い雀でさえ、父なる神の御心に貫かれているんだよ。ましてあなたは何十倍も大きくて価値があって、もっと強く確かに御心に貫かれ、守られ、愛されているんだ。だから何も誰も恐れてはいけないよ。」そして弟子たちは雀を見るたびに、世界の隅々にまで貫く神の御心を思い、信仰を強くしたのです。
ただしこの「御心の確信」の背景には迫害があります。母体のユダヤ教から迫害されつつ、負けずに福音宣教に出てクリスチャンを励ます言葉です。ここで三度繰り返される「恐れるな」は、自分たちのことを嫌って暴力をふるう人を恐れるな、なのです。
迫害はいつもあります。キリシタン時代にも、現代のアフリカ、中国、北朝鮮でも・・・。教会は襲われ、聖書を持っているだけで捕らえられ、拷問を受け、殺される。
だからイエスさまは「それでも恐れるな。あなたの命はその隅々まで、わたしの御心が貫いている」と宣言されます。そしてこれを信じるクリスチャンは、厳しい現実だからこそ、より強い信仰を持ち、それを現すようになります。
私たちも福音宣教に呼ばれています。「あなたも私も神さまの雀、イエスさまはあなたのために死んで復活した」と。宣教師のようでなくていい。人と一緒に祈る。自分一人で祈る。人を教会に誘う。洗礼・祝福に招く。手紙を書く。プレゼントを送る。ただただ目の前の人の必要に仕える。そんな小さい「雀の宣教」でいいのです。
イエスさまも祈って十字架に向かわれたのだと思います。「父よ、一羽の雀のように御心に貫かれたこの命、あなたに献げます」と。