「イエスは(天に)上げられた」(使徒言行録第1章9節)
2023年5月21日復活節第7(昇天後)主日
チムバーエ作、「王座のキリスト」、ピサ大聖堂、1310-02年 |
英語でイエスさまの昇天は「アセンション(昇る)」と訳されます。また、チャールズ3世のように国王が王位を継ぐことも玉座に「昇る」姿から「アセンション」と呼びます。だから「昇天」とはイエスさまが全世界の王座に即位し、その愛で治め、支配し、統治し、管理し始めた、という意味を持ちます。
ただしイエスさまはプーチンや金正恩のような独裁者ではありません。恐怖ではなく、愛によって支配されます。ご自分の命を与えるほどの愛で、自分では管理不能な私たち人間を、完全に支配してくださいます。イエスさまの愛に完全に支配されて心から神と人を愛せる人生、それはどれだけ幸せか。
イエスさまは私たち人間を愛して、100%の人間となった100%の神です。神と人間は競合しません。神さまが人間を支配すればするほど、人間はより罪から自由になります。より人間らしく、より自分らしく、愛することができるようになります。
イエスさまは私たちの王になってくださいました。私たちを罪から解放しようと罪を全て引き受けて死に、しかし復活して命の力で私たちを支配してくださいます。そして昇天(アセンション)によって私たちの人間性を神の前に引き上げ、愛の人間に変えてくださいます。
だからイエスさまのアセンション(昇天、即位)は、喜びです。良き統治、良き時代の始まりです。
しかし、例えばネットやテレビがない僻地に住む人のように、王の即位の事実を知らない人はその喜びを知りません。だから知らせる人が必要になります。それが福音を告げる伝令、「私の証人」とされた私たち、クリスチャンです。(使1:8) そして私たち証人に力が与えられるのが「聖霊降臨」です。
伝道については「私にはそんな力はない」と思いがちです。しかしイエスさまは「神の王座からの力を待て」と言われます。(1:4)これは私の力ではなく、イエスさまが全人類を治められる、愛の力です。
だからまず相手が神の愛に治められるように祈りましょう。「あなたに聖霊が降りますように。神の愛があなたを治め、悪から自由にし、命を輝かせてくださいますように。」
王座に昇られたイエスさまの支配を確信し、その喜びを伝えられるように、聖餐式で私たちも心を天に昇らせましょう。
「心を神に」
「主に心を献げます」