「羊はその声を聞き分ける」ヨハネ福音書第10章4節
2023年4月30日 復活節第4主日
Shepherd and Sheep.Camille Pissarro. 1888.Wikiart. |
いちばん大切なもの。それが分からなくなる時があります。教会生活においてもそうなり、とても不安になります。
信徒数の減少、高齢化、青年への継承、教会会計の赤字、説教の貧困、伝道の不振、そして最も苦しい、人間関係の悪さと自らの祈りと信仰の浅はかさ。
これらの現実に面すると、イエスさまが見えなくなります。
それはちょうどクレオパや、トマスや、マグダラのマリアのようです。復活のイエスさまが見えませんでした。しかし、弟子たちはイエスさまが語りかけられると、聴き分けました。
「羊と羊飼い」の譬えも同じです。羊たちは不安です。盗人や強盗(10:2)が騙して殺そうとしているのです。しかし羊たちは大丈夫です。なぜなら羊飼いの声を聞き分けられるからです。羊飼いが1匹1匹の名を呼べば、羊は羊飼いにだけ付いていくからです。
私たちはイエスさまの声を聞き分けられる。この確信と安心が私たちに与えられています。どれだけ不安で、心が暗くなっても、決して混乱しない。迷わない。私たちを愛して、心配して、探してくださる方が語りかけ、私たちはその声を聞き分けることができる。そのお方の背中だけを見て聞き従えば、必ず神の牧場に行けるのです。
その声はパン裂きの音の中に聞こえます。私たちの罪を受けて引き裂かれ、そして自ら裂いて私たちに新しい命を与えてくださる、羊飼いの声です。
「わたしがあなたの罪を背負ったのをあなたは知っている。だから、安心しなさい、あなたは必ず聞き分けることができる。それが教会生活でもっとも大切なことだよ。そのほかのことは、そこから見えてくるさ。」