復活の命は「人格」

2023/03/22

信仰 復活

「わたしが復活であり、命である」ヨハネ福音書第1125 

2023年3月26日 大斎節第5主日(A年)

William Blake.”The Raising of Lazarus.” 1800. Aberdeen Art Gallery, Scotland

 何度復活日の礼拝に出ても、愛する人や自分自身の死に直面するとき、信仰が問われます。

 ヨハネ福音書第11章の「ラザロの復活」の物語のなかで、マルタとマリアの姉妹(そして読者の私たち)は、死への諦めと不信仰から、復活信仰へと導かれていきます。


  まず苛立ち。「なぜ救い主はまだ来てくれないのか。なぜ二日間も止まったままなのか」。(11:6) 


  そして直接ぶつける怒り。「もっと早く来てくれていたら、死なずに済んだのに!」。愛する人が死んでしまったとき、私たちも怒ります。「なぜ、この人にかぎって!


 そして無関心。「兄弟は復活する」と言われて答えます。「それは遠い死後の、終わりの日のこと。今の私と、死んだ弟には関係ない」。(11:24) 正直、葬送式で言われる「復活」が遠く感じられ、今の悲しむ自分には何の慰めにならないときがあります。


  そして「人格の無視」。「わたしは復活であり、命である」。(11:25) つまり「わたしの人格そのものが復活の命だ」とイエスさまは言われるのに「あなたは神の子だとは信じていますが・・・。」と目の前のお方の人格を「素通り」して、うわべだけの教えを述べたのです。


  それでイエスさまはご自分の人格への不信仰と無理解に対して、憤り(11:33,38)、涙を流されました。(11:35) 「なぜわたし自身の人格と存在に目を向けてくれないのだ。」


  復活信仰とは、死後の状態についての知識ではありません。既に復活して、今も私たちの目の前で生きておられるイエスさまの人格だけを見つめることです。イエスさまの表現は「わたしが復活であり、命である」です。(11:25) 「わたしがあなたに与えて、そのあとはわたしから離れて、あなたが自由に使える命」ではありません。復活の命はイエスさまの人格、存在自体です。「もの」でなく人格です。そして復活信仰はこのお方への信頼です。


 復活は既に始まっています。死んだ愛するあの人は、既にイエスさまの人格の中で復活し始めている。そして近くで今、生きている。


 弟の甦りを見て、そしてのちにイエスさまの復活をも見たマルタとマリアは、死後の世界について知ったのでも、命を「与えられただけ」でもありません。今、生きておられるお方自身と深く結びつきました。


 「愛するあの人は、既に今、わたしのなかで復活し始めている。生きている。だからあなたも、わたしと結びついて今、わたしのなかで復活し始めなさい。復活の命とは、ものではない、わたしの自身のことなのだから。」



このブログを検索

そのほかのメッセージ

ラベル

復活 十字架 神の愛 聖餐式 信仰 祈り 聖霊 イエス 受肉 神の国 三位一体 癒し 赦し アッバ 悔い改め キリスト クリスマス 委ねる 恵み 救い 昇天 羊飼い 自分らしさ アブラハム ゲセマネ 兄弟姉妹 出エジプト 勝利 召命 変容 弱さ 悪霊 教会 洗礼者ヨハネ 神の子 解放 ぶどう園 インマヌエル ゲッセマネ 創造主 喜び 大祭司 奇跡 嫉妬 子ども 宣教 忍耐 悔い改め、荒れ野 悪魔 感謝 放蕩息子 洗礼 神の支配 自由 行い 過ぎ越し 陪餐 Being うつ かみのくに からし種 み名 み心 アダム イスラエル エリヤ ガリラヤ サマリア人 ザアカイ スキャンダル タラントン タリタクム パン裂き ピスティス ペテロ ペトロ マリア マルタ メシア ヤイロ ユダ ユーカリスト ラザロ 不安 不正な管理人 主の祈り 今ここに 仕える 伝道 信頼 偶像 共感 再創造 再臨 十戒 原罪 受容 受難 境界線 天国 奉仕 奉献 婚宴 安息 審き 希望 平安 幸せ 弟子 律法学者 従順 忠誠 憐れみ 懺悔 成就 戒め、山上の説教 承認欲求 招き 新しい創造 最後の晩餐 栄光 楽園 権威 歴史 毒麦の譬え 洗足式 清い 灰の水曜日 無力 父、三位一体 独り子 現存 生きる意味 病い 真理 礼拝 祝福 神の家 神の言葉 神殿 祭司 種蒔き 絶望 聖書 肉体 自己肯定 苦難の僕 裁き 見失った羊 覚悟 親密さ 観想 記憶 誓約 誘惑 誠実 譬え 財産 貧しい人 貧しい人、共有、復活 賜物 賢明さ 躓き 身代金 迫害 追放 重荷 障害 静けさ 食卓 飢え 養い

自己紹介

自分の写真
大津市, 滋賀県, Japan
聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

日本聖公会京都教区 大津聖マリア教会

Wikipedia

検索結果

コメント

名前

メール *

メッセージ *

Tags

QooQ