王さまは赤ちゃん 「布にくるんで飼い葉桶に寝かせた」ルカ福音書第2章1節-20節

2022/12/19

かみのくに クリスマス メシア

2024年12月25日降誕日

マリアとイエス

Donatello, madonna pazzi, 1425-30 ca

 

 王とは人を力と脅しによって従わせる支配者です。イエスさまの時代、ローマの皇帝アウグストゥスは自らを「神の子」を名乗りました。王を超えて神となったのです。


 この皇帝が課税のために行った人口登録の結果、イエスさまはダビデ王の街に生まれました。同じ世界の片隅で、真の王、神の子が生まれ、神と悪との戦いが始まりました。


当時、ユダヤの民が期待したのはローマ帝国からの独立を勝ち取る王、メシアです。


 しかし独立を勝ち取るはずの新しい王は・・・赤ちゃんでした。弱く、貧しく、居場所なく、飼い葉桶に布で包まれた赤ちゃん。この弱い存在が神さまの姿だというのです。


マリアが布で包んだ赤ちゃんの肌を黙想しましょう。ほっぺた、唇、腕やお尻。水風船のように命そのものが薄い肌の内側に存在しています。その肌に触れると神さまに触れているようです。「この存在はどんな暴力からも守られなければならない」と思います。愛が湧いてきます。赤ちゃんは弱いけれど強い存在で、人を愛によって支配します。


神さまは赤ちゃんのように私たちを治める王です。力と脅しではなく、ご自分の命そのものを裸で弱い姿のまま私たちにさらし、触れさせ、与えます。「あなたにわたしを与えたい」という純粋な愛です。


その愛は十字架でのお姿、そして復活後のお体と重なります。そこではマリアは直接、神の命を受け取るのです。


この王に従うことで、私たちも命を与える人になれます。聖餐のうちに、このお方の肌に触れさせて頂きましょう。

 

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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