一緒に胸を打ち続けるから  「胸を打ちながら言った」 (ルカ福音書第18章9節)

2022/10/22

祈り 懺悔

ファリサイ人と徴税人
 
 当時のファリサイ派は神の戒めを厳しく守る皆が認める指導者だ。だから自分の価値を確信し天を仰いで祈る。だがそれは他人と比べて自分を「感謝する」独り言だ。

徴税人は「謙遜の模範」ではない。ローマの威を借りて同胞から金をゆする悪人だ。だから指導者や祭壇に近寄らず、天も仰がず、ただ胸を打ち続ける。これは虐げてた人々に対する申し訳のなさと、後悔の念による息苦しさだ。ここに他人との比較はない。神さまと一対一だ。


今まで無視してきた自責の念が沸き上がる。自分は悪かった。息苦しい。そして自分の過去を悔い、自分を神さまの憐れみに任せた。「神さま、罪人のわたしを憐れんでください。」これは人には言えない心の内奥での対話だ。


そしてイエスさまは言う。義とされる、つまり「もうそれでよい」と神さまが言うのはこの徴税人の方だと。


私自身、洗礼を受け、聖職にもなった。そこで「他の牧師と比べて、自分はそこそこ良い牧師だ」と無意識にも思っていたことがある。だが「どのような秘密もみ前に隠れることはありません」。


今でも中学生の頃の自責と懺悔の念が胸を苦しめる。野球の友達を「いじって」いたことは、彼には「いじめ」だっただろうということだ。こんな奴が司祭だとは……


しかし聖餐式でイエスさまは、一緒に胸を打ち祈ってくださる。私たちが神の赦しによって悔い改めるように。そして十字架で私たちの悪と共に死に、復活で私たちを変えられる。今度は人を大切にすることのできるように。


だから胸を打つ後悔と懺悔は、聖餐式に持ち込もう。


「一緒に胸を打ち続けるから。悔い改めて赦されるまで。義とされて家に帰ろう。」

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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