祈り求める裁き 「選ばれた人たちのための裁き」 (ルカ福音書18:7) C年特定24

2022/10/13

祈り 救い 裁き

 
不正な裁判官
Eugène Burnand (1850-1921) 'The Unjust Judge, Museum of Moudon

以前に、パワハラを決めつけられたことがある。たった一度の面談でだ。それは偏見によって既に決まっていた結果に誘導する面談だった。


苦しかった。私は完璧な聖人ではないが、それでも正しい裁きを求めた。それは裁きをただ祈り待つ、忍耐の日々だった。結局は違う委員会が再調査をしてくれて、冤罪を晴らしてくれた。正しい裁きが行われた。私は救われた。


ルカ18:1-8は、一人のやもめが裁判官に裁きを忍耐強く何度も訴え、聞き入れられるという譬えだ。それが「気を落とさず祈る信仰」の姿勢として勧められている。


やもめの裁判の内容は分からない。だが聖書全体が語る裁判は、個人主義には留まらない。孤独な一個人に祈りを勧めるだけではない。


それは「選ばれた人たち」と呼ばれるイスラエル共同体だ。ヤーウェなる主がアブラハムとその子孫を選び、永遠の誠実を誓われた民だ。


自らの裏切りによって国を滅ぼした民は、決して完璧な「聖なる民」ではない。驕り高ぶって敵を呪うのでは無い。逆に罪深い民だ。だが神が選び、誠実を誓われたがゆえに民を赦し、敵を裁き、救われる。それが神の国だ。


神の国がイエスさまのうちに始まった。十字架刑から復活されたイエスさまは、正しい裁きが行われた証拠。イエスさまにかけられた悪い容疑はすべて覆された。復活の命のうちに、神さまは正しい裁きを表された。新しい命が始まった。民は救われた。


私たちは神さまの裁きによって救われる。救いとは、すべての悪と病魔と死が裁かれること。そのとき私たちは救われる。正しいからではなく、神に選ばれた民だから。


神さまの優しさだけではなく、力強い裁きを「気を落とさずに祈り求めよう。」


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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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