もうあの日とはちがう 「神が死者の中から復活させられた」(使徒4:10) B年復活節第三主日

2021/04/14


「人間は変われる、その証拠が荒木だ。高校までのチョケた奴から変わって今は牧師をしている」と言われたことがある。


だとするならペトロはその何万倍「変われる」ことの証拠か。ペトロの代名詞は「臆病」だった。愛する先生が逮捕された夜、彼は勇気を持って同行しなかった。先生が不正に裁かれている夜も、大祭司邸の中庭で「あんな人は知らない」と三度も否定し、そのあと「激しく泣いた。」そして翌朝、神殿の最高法院で先生が死刑にされるとき、ペトロはもう逃げ去っていたのだ。


そのペトロが今、同じ最高法院で同じ大祭司を目の前にして裁かれようとしついる。自分をいともたやすく殺す政治力を感じただろう。しかし今やペトロは全くの別人だ。その圧力よりも強い勇気で「あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は復活させられた」と宣言する。しかもイエスを「隅の親石」とする教会こそ「あなたたちに替わる新しい神殿だ」と示唆して大祭司たちを激怒させ殺意を抱かせるほどだ。


この変容ぶりの根拠、そして教会の原動力はやはり、主イエスの復活だ。主は死を超えて今も生きている。今も自分の隣にいる。自分も死んだ後は、たとえ殺されたとしても、必ず主と同じ新しい命に復活する。この復活の力に対しては、どんな暴力も死も政治力も勝てない。


ペトロは同じ法廷で全く新しい命を生き始めていた。


現代でも暴力と死の脅迫が横行する国がある。また、日本でも死の脅迫はある。「死んだら終わり。何も残らない。死は暗く、怖く、悲しい虚無」と嘘をつく現世主義だ。


この圧力に対して戦おう。ペトロの勇気を受け継いで。主イエスに始まった復活は、私たちをまったく新しく変えた。死の向こう側から、主が命をお与えになるのだから。


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J.ティソット「朝の裁判」, 1886-1894, ブルックリン美術館米国.

 

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