「だいすけ、だいすけ、佐藤大輔…」と母親が息子の名前を呼んで書き続けるCMがある。母子手帳、おむつ、体操服、問診票、付箋、合格祈願、宅急便、、、。そして最後にしめくくる。「名前は、いちばん短いラブレターだと思う」。
切なる祈りを捧げる元旦礼拝。教会歴で新年は既に降誕日に始まっている。今日は神が人として生まれてマリアとヨセフに委ねられ、ユダヤの儀式で命名された 日を祝う。CMの様にマリアは、イエスさまが宣教に旅立つまで1日何回、1年何万回とその名を呼んで育て、養い、戒め、悲しみ、喜んだ。名前には呼んだぶんの愛が詰まっている。
同様に、あなたの名前を神は愛情を注いで呼んできた。生まれた日から、少年、青年、中年、老年、そして死を迎えるその瞬間まで、あなたを愛して呼んできた。それは私たちも「イエスさま」と呼び返し、祈りの対話で神と交わるためだ。
マリアが「イエス」と呼べば応えるようになった赤ちゃん。この子が少年、青年となって成人して、油注がれた王メシアと呼ばれる。そして群衆や弟子たちに呼ばれ、しかし都の敵に嫌われ、全ての人の罪を代わりに背負う形になって磔刑で殺される。その十字架には自分の愛が詰まったあの名前、「イエス」が刻まれていた。私 の愛は無意味だったのか。しかし復活して再会した日、深く悟った。「私が名前を呼んできた小さな日常のすべてに神は共におられたのだ」。
あなたが名を呼ばれて愛されてきた時間、またあなたが誰かの名を呼んで愛してきた時間に、神はずっとおられた。
その神の名を今年こそ沢山たくさん呼ぼう。「イエスさま」!
-----聖画-----
「磔刑」より、エル・グレコ1597-1600年プラド美術館、スペイン。