泣いてる日さえ -- 「悲しむ人々は幸いである、その人たちは慰められる」(マタイ5:4)

2020/10/29

ミケランジェロ作、「ピエタ(敬虔、慈悲)」 1498-1500年、
サン・ピエトロ大聖堂、ローマ

  死別の悲しみは「不在」です。ここにいるべきあなたがいない。語りかければ返してくれるあなた。嬉しいことも、イヤなことも、深刻なことも、たわいもないことも、分かち合ってくれるあなた。そのあなたが、いて欲しい時にいない。天を仰いで願う。「会いたい、一度でいいから。」そして泣けてくる。人前ではいつまでも泣いてられないけど。

  死別を悲しむ人に、イエスさまは常識にはあり得ない福音を宣言されます。幸せでないから悲しんでいるのに「あなたに祝福を与える」と宣言し、慰めがないから泣いているのに「あなたを慰める」と約束しました。

「慰められる」の原意は「側へ呼び寄せる」。涙は主イエスの存在を側へ呼び寄せます。神は決して「信じろ、泣くな」と突き放しません。私たちの心が弱く泣いてしまうとき、主は側に来て一緒に泣かれます。涙は愛した証しであることを主もご存知です。主イエスも死んだラザロのために「涙を流し」、また共に「憤り」ました。(ヨハ11:33-5)

 しかし共に泣いてくださる主は、復活の主。死の悲しみを打ち破り、今も生きています。復活の内に天と地は交わりました。終わりの日、それまで「いない、いない、どこへ行ったの」と泣いてきた大切な人は、主と共に復活して帰って来ます。そして抱き合って嬉し泣きする日が必ず来ます。「やっと会えた、嬉しいね、ずっと見守ってたよ。」

 不在の悲しみは愛した分だけ深いですが、存在に満たされる再会の喜びもその分深くなります。不在に泣いているときさえ、主の存在はあなたを満しておられます。


 

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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