光の露 --「光の露、あなたは死霊の地にそれを降らせられます」イザ26.19 (B年復活節第二主日)

2018/04/08

   これは、一滴も雨が降らない乾きを知る民が好んだ神の譬えだ。乾季は5月から10月まで。麦は5月には収穫できるが、草木の水分は乾季には露しかない。地中海からの水分が夜に結露して葉につく。その一滴一滴を草木は逃さずに吸収し、前日の灼熱で干からびた身を生き返らせる。 
 野宿を共にしたイエスさまもトマスも、夜には疲れて眠っても朝には回復し、奇跡のような朝露の珠を見て父なる神に感謝しただろう。日々の朝露に生かされる「野の花」に、自分を重ねただろう。
 復活したイエスさまは「死霊の地」にいるように暗く怖がる弟子たちの真中に現れた。また、自分で傷に触れねば信じない、と「死霊の地」のような疑いの闇に迷っていたトマスの目前に現れた。そして傷を見せられた弟子たちは悟った。「あぁイエスさまだ。革命ではなく罪人として処刑されたのは、私たちの罪をかぶって、赦して、私たちを復活の命に立ち上がらせるためだったのだ。」
 「あなたの死者が命を得、わたしのしかばねが立ち上がりますように。塵の中に住まう者よ、目を覚ませ、喜び歌え。」(イザヤ26.19)これこそイエスさまの心。自ら殺され復活したのは「死霊の地」に住む人の「光の露」に自分が成って降り注ぎ、復活の命に生かすため。人が、恐怖と疑いの闇に迷うのではなく、命の光を喜び歌うためだ。

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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