信仰を題材としたマリリン・ロビンソンの小説「ギレアド」は手紙の形で語られる。心臓病で余命いくばくもない老牧師が7才の息子に綴る。自分の人生と、どれだけ妻と息子を愛しているかを。
本当に愛する人、家族や友人には、自分を覚えていて欲しい。思い出してもらい、死んだ後もその人の中に存在していたい、そう願うのが自然だ。
そういう意味でイエスさまの隣で十字架につけられた犯罪人は、無実なのに自分たちと同じ罪を被って死んで行くイエスさまを愛した。「あなたが、神の油注いだ王として再びこの世に来て、ローマ帝国とは全く違った力で支配なさるとき、どうかわたしを思い出してください。たとえ死んでも、わたしはあなたの中に生き続けたいのです」と。
すると主は答えた。「死後じゃない。今ここで既にあなたはわたしの中にいる。それが楽園じゃないか。」どれだけ嬉しくて、平安になったか。
神は人を思い出す存在です。どれだけ失敗や罪を犯して神から遠く離れても、神は決してあなたを忘れない。神はあなたを必ず思い出す。そして私たちを愛して、思い起こして、記念して、想起して、愛の食卓に引っ張り出してくださる。誰をも愛さず愛されず、無意味に忘れ去られる闇から。
主を「記念するため」私たちがパンを割くとき、主が私たちを思い出してくださる。そして神の胸の中に入りたいという願いを、成就してくださる。
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引っ張り出して --「わたしを思い出してください」ルカ24:42 (C年降臨節前主日、特定29)
2019/11/24