懐かしい --「めいめいが生まれた故郷の言葉を聞く」使2:8 (C年聖霊降臨日)

2019/06/09



懐かしい

「めいめいが生まれた故郷の言葉を聞く」(使2:8)

 外国で病を得て行き詰まっていた時、貴重な国際電話で聞く母の関西弁が、どれだけ懐かしく感じられたか。涙ながらに受話器を握りしめ、失った自分らしさを取り戻して、また頑張った。
 エルサレムの外国出身ユダヤ人は「めいめいが生まれ故郷の言葉を聞いた」。失った自分を懐かしく取り戻した。どれだけ故郷から離れ、理想から離れ、そして神から離れていても、聖霊が降臨すればあなたは「故郷の言葉」を聞く。そして忘れてた懐かしい自分を取り戻すのだ。
 聖餐でも自分を取り戻す。聖霊が降りイエスさまの内に皆と一つに結ばれると、孤独は消え神に感謝する自分を懐かしく取り戻す。理想とは程遠い自分の現実が、主の命で赦されると信じ、ほっとする。あぁこれが自分だ。心配や悩みを追いかけて、知らない間に遠く離れてしまったけれど、本当の自分は神の愛する子どもだった。聖餐の言葉こそ私の故郷の言葉だ。
 聖霊降臨の目的は外国語の上達ではない。神から遠い人が神を近くに感じ、泣きたいほど懐かしい自分を取り戻すことだ。それが赦しの息吹の霊だ。そして命がけで伝えられてきた福音は、私たちの最も懐かしい自分、神の似姿だ。
 神こそ私たちの故郷だ。あぁ懐かしい。

 

イエスさまも聖霊ほを受けられけた時、愛する子を感じた 
 

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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