私は自分一人で洗礼を受けて信仰を始めたと思っていた。だが今思うと周りには、歴史的信仰を私に引き継いでくれた兄弟姉妹がいた。
帚木蓬生(ははきぎほうせい)さんの小説「守教」は「弟から密告された最後のキリシタン」として磔刑に処されることで、村人の信仰を幕府の疑いから守ったジョアン又右衛門(「道蔵」)の物語だ。今村天主堂は彼の遺骨の上に建てられ、彼は後々の信仰者の救いとなり、「とこしえに星と輝く。」
ダニエル書の時代も多くの信者がセレウコス帝国に殺された。殉教していく姿はそれを見た人の心を震わし、迫害の中で信仰を守る力となった。だからこそ「もうすぐこの世が終わって神の時が来て、殉教者が目覚める」という終末的な復活への期待が膨らんでいったのだ。
そんな期待が充満する時代にイエスは来られた。そして人々を救う殉教者達の完成として、また神ご自身の現れとして、復活した。弟子たちはそれを見た。そして終末の始まり、神の国の最初だと信じ、伝え、さらに殉教していったのだ。
キリストとその殉教者、逝去者と兄弟姉妹は、私たちの信仰を救いに導き星と輝く。そして私たちもまた「星と輝く」よう招かれている。