「着物は古びず、足がはれることはなかった」 申命記8.4 (特定13)
これは一人一人の救いにも関わる大切な奇跡物語だ。昔、民は奴隷の国から導き出されてから40年も砂漠を旅した。なのに振り返れば着物は古びず足もはれなかったという。今も人生の旅路で「心も体もボロボロに傷ついた」とその時は思う、振り返ると実は自分はずっと神に守られていたのだ、と知って救われる。
司祭ジョン・ダンはこう言った。「救いの技術とは、記憶の技術にほかならない。」これは「最近忘れっぽくて」という浅いレベルではない。自分に与えられた恵みを一つ一つ思い起こして感謝し、過去も今も未来も共に居られる神の存在と交わる深い記憶力。神が人の心の底に備えられた神の似姿、救いの力だ。この力で恵まれた自分を思い起こし、人は神と出会う。
聖餐式で私たちは、主イエスを記念することで今も生きるその存在と交わり、また神ご自身が私たちを決して忘れず記憶していただく。だから聖餐式はユーカリスト(感謝)と呼ばれる。
恵みなんて見当たらない、、、と感じる日もある。しかしそれは真実か。思い込みではないか。「神は私たちを愛してくださった」と信じる勇気こそが、神の似姿である記憶に火をつける。そして恵みを思い起こさせ、人を救うのだ。