「預言者エレミヤ」ロレンツォ・モナコ作、1407年、個人蔵
|
「立ち帰れ、イスラエル」とエレミヤが叫んだ相手は北王国の末裔。彼らは作物の豊饒と家畜の繁殖を司(つかさど)る力欲しさに、自分たちを救った「主」なる神を忘れ、「バアル」なる力に頼った。自分が命の力を持てば、主なる神に頼らずともよい。国が滅び敵国に流刑にされたのは、この裏切りの結果だ。だから「初めの主なる神に帰れ、主にただ生かされていた神の民に戻れ」と叫ぶ。
「悔い改めて福音を信じなさい」とイエスさまが命じた悔い改めは反省ではない。自分の力で別人になるのではない。むしろ自分の力を捨てて主に帰り、主に癒され、主の民にしてもらうことだ。「ついて来なさい」と呼ばれた弟子は、全く他の場所に旅立ったのではない。イエスさまと一緒に、自分の故郷に帰り始めたのだ。
主に立ち帰る旅は一瞬ではなく一生かかる遠い旅だ。しかしどれだけ主の故郷から遠く流されてしまっても、イエスさまは自ら十字架の地獄まで、自分の力を捨ててまで、探しに来てくださる。「さぁ一緒に帰ろう。故郷に。」