一緒に帰ろう --「立ち帰れ、イスラエルよ」エレ4.1 (顕現後第三主日)

2018/01/21

「預言者エレミヤ」ロレンツォ・モナコ作、1407年、個人蔵

 成人洗礼を受けた時、私は必死の覚悟で力(りき)んでいた。なんとかして今と違う自分になる、と。しかし今、分かる。あの時私は自分でない別人になったのではなかった。主なる神に引き寄せられて、自分らしい自分へと帰り始めたのだと。  
 「立ち帰れ、イスラエル」とエレミヤが叫んだ相手は北王国の末裔。彼らは作物の豊饒と家畜の繁殖を司(つかさど)る力欲しさに、自分たちを救った「主」なる神を忘れ、「バアル」なる力に頼った。自分が命の力を持てば、主なる神に頼らずともよい。国が滅び敵国に流刑にされたのは、この裏切りの結果だ。だから「初めの主なる神に帰れ、主にただ生かされていた神の民に戻れ」と叫ぶ。  
 「悔い改めて福音を信じなさい」とイエスさまが命じた悔い改めは反省ではない。自分の力で別人になるのではない。むしろ自分の力を捨てて主に帰り、主に癒され、主の民にしてもらうことだ。「ついて来なさい」と呼ばれた弟子は、全く他の場所に旅立ったのではない。イエスさまと一緒に、自分の故郷に帰り始めたのだ。  
 主に立ち帰る旅は一瞬ではなく一生かかる遠い旅だ。しかしどれだけ主の故郷から遠く流されてしまっても、イエスさまは自ら十字架の地獄まで、自分の力を捨ててまで、探しに来てくださる。「さぁ一緒に帰ろう。故郷に。」

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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