こう言われてペトロはショックだったでしょう。直前では「あなたは教会の岩。だから岩という意味のペトロと命名する」と祝福されたのです。だのに先生の安全を願った瞬間「サタンよ引き下がれ、躓きの石」と拒絶されました。
それはシモンの信じたメシアが、イスラエルを軍事的に独立させる間違った「油注がれた王」だったからです。本当の王の道はしかし、人の罪と死を背負って十字架で死ぬ苦難の道。そして主に従う弟子の道もまた苦しみを通って命に至る道だ、とイエスは教え始められました。
苦難の道こそ救いの道、シモンがそう悟るのは復活後です。死を超えた先生に出会い、誤解と裏切りが赦されて初めて宣教の旅に出ます。そして心は常に揺れながら「今度こそ裏切らない」とローマで逆さに磔にされて殉教しました。 教会の岩は、始めは躓きの石だったのです。自分勝手に誤解して裏切り、それでも聖霊によって赦され変えられ、主から十字架の道を常に学び続けました。そうして自分を超え続け、躓きの石から教会のの岩となったのです。
神は躓きの石のような人を選び、その人に十字架と復活の恵みを悟らせて教会の岩にします。さあ私たちも躓きの石から礎の岩にしていただこう。