もらい泣く神「イエスは涙を流された」ヨハネ11:35 (A年大斎節第五主日)

2017/04/02

 涙は涙を誘います。教会の葬送は「さようなら」と「また会おう」。葬送の朝に復活の命の希望を持って送るためには、お通夜で死を十分に嘆く必要があります。だから会衆みんなで一緒に涙を流すのです。
 通夜のように、マルタとマリアは愛する弟ラザロの死を悲しみ涙しています。周りの皆も泣いています。人々の涙を見てイエスさまはその場でハラハラと涙に崩れます。先生の立場や、神の子の呼び名も、ポロポロと目から流れ落ちる涙を止められません。
 弟の癒しを祈り、癒し主を待ち続け、しかし神は沈黙したまま弟の死に面したマルタとマリアは、このイエスさまの号泣を見て、また一緒に涙したことでしょう。一緒に泣いくれる、これが神の本質です。神が沈黙しているように見える日はありますが、しかし本当は、神は涙する人を見れば共に涙を流し、悲しむ心と一つになる存在です。
 イエスさまの涙は神のもらい涙であり、同時に、悲しみの源である死に対して憤る涙でした。死を滅ぼすために、イエスさまはさらに涙して苦しみ、十字架で殺されに行きます。そして父なる神に復活させられ、死を超える命の源となられました。ラザロの蘇生はそのしるし、そのサインです。神の命はその涙もろさで、死に勝たれました。

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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