「見よ、神の子羊だ」ヨハネ1:36 (A年顕現後第二主日)

2017/01/15

 私たち神の民の先祖は紀元前1250年あたりに、エジプト王の強制労働下で苦しんでいました。それをヤーウェ「主」という神が憐れみ、救い出し、約束の地に導かれたのです。その夜の大脱出は、国中の初子が死ぬ惨事と混乱に乗じて決行されました。主が定めたように子羊を屠り、その血を鴨居と柱に塗った家の子は死なず、脱出の旅に出られたのです。
 この大脱出を覚え、毎年の過越の祭りで屠られ食されたのが「過越の子羊」です。犠牲にした子羊に、犠牲となった子どもらの死の姿も重なってきます。そして神の怒りと悲しみが私たちを「過越し」、束縛から自由へと脱出させて下さったことを神に感謝したのです。
 ヨハネ福音書は千年の時を超えて、イエスさまがこの大脱出の再来であり完成だと主張します。イエスの十字架死は神殿で過越の子羊が屠られる時刻に設定され、ヒソプの草や、骨を折らないことまで過越の子羊に重ねます。
 イエスが死なれたのは、人間が罪の束縛から脱出する夜の「鴨居の血」となるためです。死の滅びが私たちを過越すとき、私たちをかばって守る犠牲となられました。そうして信じる人を、人間の罪の束縛から聖霊に生かされる自由へ、死から命へと、脱出させたのです。

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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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