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「憐れみで胸が張り裂けそう」ルカ7:13 (C年特定5)
2016/06/05
あなたが最も悲しんだのは誰を失った時ですか。最も悲しむのは、誰を失う時でしょうか。
ナインの町は悲しみに満ちていました。若くしてご主人を亡くした寡婦が、経済的にも心理的な唯一の支えだった一人息子をも失ったのです。町民は死の現実に打ちのめされた母親に安易な慰めの言葉もかけられず、少し離れて泣き女達と共に泣くだけです。母親は最愛の息子にすがりつきますが遺体は着実に城門の外へ、生活の場から死者の場へ、夫の墓へと運ばれます。
しかし祈ることさえできずに泣く母親をじっと見つめる人がいました。イエスです。「憐れみで胸が張り裂けそうな思いに駆られ」自ら進んで死の行列を遮ります。神の国はイエスの胸を憐れみで裂くように出現します。そして「もう泣くな」と母親に声をかけ、死で汚れた棺に触れるのです。十字架の呪いを受けても復活の命を与えるイエスは、汚れても汚れても死を担います。そして「死体よ」ではなく「青年よ、起きなさい」と言葉をかけ、その言葉が実現します。母親に最愛の息子を取り返しました。母親はどれほど驚き、どれほど喜んだことか。
私たちの慰めの根拠はこの息子の蘇生自体ではありません。この子を死から取り返したイエスご自身が、死から復活して今も生きていて私たちをずっと見つめて下さっていることです。悲しむ時には胸も張り裂けそうな思いで、、、。