「二人がイエスと語り合っていた」ルカ9:30 (C年大斎節前主日)

2016/02/07

 「自分は今から死ぬ」と旅路を歩み出すイエスさまにとって、山上での神体験は大きな力となったでしょう。辛い現実へと降りていく勇気、「これでいい」という確信、そしてこの栄光の記憶自体が、死の陰の谷を歩む杖となるのです。
 その栄光の中身は「語り合い」でした。人格と人格が触れ合い、ただ見つめ合うだけで幸せな交わり、コミュニオンです。相手は同じように山で神と出会い神に従ったモーセとエリヤです。あなたは死を目の前にしたとき、誰との語らいと交わりのひと時を思い出しますか。
 山上での三人はイエスが遂げるべき「出エジプト」について語り合ったとルカは記しました。モーセが海を割って民を奴隷の国から導き上ったように、イエスさまも十字架で腕を広げて人類を罪と死から導き上る。このイエスさまの凄まじい愛の働きについて、山上の天国で三人はと語り合ったのです。栄光とは愛が輝くことです。 
 この神秘は人には理解不可能です。しかし目撃した弟子と私達にとって、これは確かに慰めです。なぜならこの栄光は終わりの日に実現する神の国だからです。人が死んで復活に入って「神と語らう」天国の、前兆であり、見通しであり、補給地点での勝利の味見なのです。
 イエス様との交わり(コミュニオン)である聖餐は天国への補給地点。さぁこの味見の記憶に支えられて現実世界を生きぬくのです。


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聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。

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