和歌山県新宮市という町は僻地です。高速道路もなく、入り組んだ海岸線沿いの鉄道と国道の大動脈は、すぐに高波や渋滞で止まります。命の道として、高速道路が長年の悲願でした。そして念願が叶い「那智勝浦新宮道路」が開通しました。莫大な金をかけてトンネルと陸橋をふんだんに使った「まっすぐ」な道。まさに「谷はすべて埋められ、山と丘はみな低くされ、曲がった道はまっすぐに」の預言者の幻です。初めは「税金の無駄遣い」と思いましたが、実はその金額に値する価値があると知りました。
それは二つの町の中間点にある病院に、1分1秒を急ぐ救急車が両方の街から命を運んで走ってくるのを見てからです。まさに「まっすぐに」通された命の道を「救い」が走る。以前に比べて何人の命が救われたことでしょうか。
教会の母なるイスラエルの民の悲願は、570年かけて成就されました。それは主を見捨てた民が苦しんだ年数です。バビロニアに滅ぼされて拉致された民。解放後もずっと大国やローマ帝国に重税で虐げられ、信仰も迫害されてきた。そして山や谷や曲りくねった凸凹道をとぼとぼ辿るしかなかった民に、とうとう救いの道がまっすぐに通された! と洗礼者が告知します。
曲りくねったあなたの生きる道に、救いがまっすぐに走る。神ご自身があなたと同じ人間となって、あなたに向かって走って来られる。
