グロテスクな譬え、と思うかもしれませんが、私には身近に感じられます。なぜなら私の祖父は戦争で片手を失ったからです。戦争初期だったため病院船で生還できました。背広のぶら下がった右腕が、子供心に「戦争」や「障害者」という暗い物を感じさせました。
ですが本人は明るく興味心が旺盛で、街歩きを楽しみ色んな所に「待望の」男孫の私を連れて行ってくれました。今思えば祖父は片手になっても生かされたことをこの上なく愛したのだと思います。命にあずかったからこそ結婚も子供も孫もでき、今こうして街歩きができる。私自身、祖父が生き抜いてくれたからこそ今存在するのです。
傷痍軍人に「躓きや地獄」は絶対当てはまりません。ですがどれだけ痛み傷ついても死んでしまうより生きて命にあずかる方がよい、とは戦争も聖書の世界も同じです。神の命にあずかる、その裏には想像を絶するような犠牲と痛みと苦しみがあります。
事実イエスさまはその様な自己犠牲を十字架上で払われたのです。復活の命のために。私達も、自己を犠牲にしても、神の命にあずかって生きる方がずっと良い。
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自己紹介
- ヨハネ荒木太一
- 大津市, 滋賀県, Japan
- 聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。
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