トマスは願っていました。試してもいました。見せて欲しい。感じさせて欲しい。体験させて欲しい。「あなたは本当に復活して今も生きているのですか? わたしの裏切りを赦して下さったのですか? それでもなお、愛して下さるのですか?」
わたしたちは願い、試します。病気に伏す日々には「少しでいいから癒しの兆候を見せて欲しい」そう願う。でなきゃ信じない、、、。人間関係でも「あなたの愛を感じさせて」とねだります。子供は上手です。「抱っこして、、、」と一言いえばいい。そうすれば体全体で親の愛情を感じることができる。でも大人はそうは言えないので、いろんな形で相手にしるしを求めます。相手の誠意を、愛情を、覚悟を、赦しのしるしを要求します。
復活体験をねだるトマスに、復活後第二主日に現れたイエス様は、自分自身を裸のまま差し出しました。そして招くのです。「さぁトマスよ、好きなだけ私の傷を触りなさい。触って、感じて、体験しなさい。そして信じる人になってくれ。そのためなら俺はなんでもする」と。
このイエスの姿を見たトマスは、体には触れず、その場で福音書の核心を告白します。「わたしの主、わたしの神」。なぜなら「お前が信じるためなら、わたしは自分自身を与えよう。傷や弱さも全て裸で差し出そう」とするイエスさまの姿は、十字架刑で自分の命を与える姿を思い起こさせたから。自分を差し出し、傷つき、死に、しかし復活して赦しを与える。それこそが見えない神の、見える姿だとと思い起こさせたからです。
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自己紹介
- ヨハネ荒木太一
- 大津市, 滋賀県, Japan
- 聖公会京都教区の司祭です。大津聖マリア教会勤務です。うつ当事者として自助グループ「マ・カタリーナ」の世話人もしています。リンクをご覧ください。
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