「ぎゃー、出たー、幽霊!!」と弟子達が夜の海で叫びます。弟子達だけで船を進めていた時のことです。イエス様は、モーセに後ろ姿を見せて通り過ぎた旧約の神のように、弟子達に自らを現します。それは人の存在をあらしめる、神の存在、命の力そのものです。
しかし弟子達には、イエスは神ではなく、恐怖の幽霊にしか見えませんでした。「お化け」と言えば夏の子供だましに聞こえますが、超自然現象、非常事態といえば少しは恐怖感は伝わるでしょうか。「ぎゃー」と叫んだ瞬間に、もう自分は見失い、恐怖に駆られた興奮状態でただ逃げまわるだけです。
自分を見失わせる。それが「幽霊」の業。オリンピック選手は不安の幽霊に勝ち、自分らしくプレーするメンタル面を鍛えます。それは勇気を持って自分自身の源を信じることに似ています。存在の源である神への信頼が、自分自身を取り戻してくれるのです。
神が恐怖の幽霊に見える。それだけ人の心に見えるものは信頼できないもの。だから「見えるものを信頼するな。勇気を持って。自分をしっかり持って、わたしを信頼しなさい。わたしはお前の生きる存在そのものなんだ。」